STORY
滋味深い甘さの余韻が続く、”和風”感じるホンジュラス・ゲイシャです!
最高級品種のひとつとして、もはや説明不要なほど著名になったゲイシャという品種。
世界中の生産国で栽培されていますが、その特徴はなんといっても”ジャスミンフレーバー”と呼ばれるフローラルで甘い風味ですよね。
高品質なゲイシャにはこのジャスミンのような風味がつきものですが、そこに付随するフレーバーには生産地ごとの個性を感じることができます。
今回ご紹介するホンジュラス・サンタバルバラの生産者、フアン・カルロス氏のゲイシャからは、定番のジャスミン感にプラスして、緑茶や柚子など、どこか"和風"な趣を感じることができます。
軽やかで明るい酸質と甘い風味、滑らかで口溶けのよい質感は、温度帯によってレモン、柚子、金柑、白ぶどうなどさまざまなコメントが出てきます。
同時に、少しグリーンがかったようなフレーバーはまさしく緑茶、なかでも品のある玉露のような雰囲気。
温度が下がるにつれてほのかにシナモンやジンジャーのようなスパイス感も現れてきます。
また、特に冷めたときに感じるのは、丁寧にとった"出汁"のような旨味感。
いづれも上品さがあり、どこか"和風"を感じる味わいは、日本人である自分にとって実に馴染みよく、安心感を覚えるようなコーヒーです。

生産者のフアン・カルロス氏は、幼い頃から父親の援助を受けて、サンタ・バルバラにあるサン・ニコラス村の1/2ヘクタールのコーヒー農園から自分の農園を始めました。
コーヒーの収穫でお金を貯め、数年後には別の場所にもっと大きなコーヒー農場を購入することができました。
ここで同じく父親から農場を受け継いだ妻と出会い、こうして彼らは10ヘクタールのコーヒー農場を持つようになり、すべてのコーヒーは一般市場で売られるようになりました。
しかし、12年前に長男が心臓病を患い、検査の結果、開胸手術をしなければならないことが判明します。
手術費用を捻出するために農園をすべて売却しなくてはなりませんでした。
治療の結果、無事息子さんは回復しましたが、家族でまたゼロからのスタートを切らなければならなくなります。
2015年にサンタ・バルバラの山の高台にとても安く売られている物件を見つけて購入、翌年この町に引っ越して、子供たちと一緒に再びコーヒーを植えました。
しかし、その最初のコーヒー農園はうまくいかず、寒さで植物が枯れてしまいます。
それでもフアン・カルロス氏は決してあきらめず、3年前に再び農園を作り、今度はゲイシャコーヒーをはじめ、パカスやブルボンなどの品種をたくさん植えました。
そこからスペシャルティコーヒーを生産している隣人のサポートと指導もあり、すこしずつコーヒー生産を軌道に乗せられるようになってきています。
フアン・カルロス氏の農園には、簡素なウェットミルがあります。
収穫したチェリーをその日のうちにビニール袋に入れて12時間無酸素発酵させた後、果肉除去しコンクリートタンクに入れてさらに12時間ドライファーメンテーションさせます。
その後、水を加え、木のパドルで洗いますが、この間3回水を取り替えます。
その後、パーチメントは家に移され、アフリカンベッドにおかれ、8〜9日間乾燥されます。